2009年から、ここ国立本店で新しくスタートした『本のしごと研究室』では、隔週でゲストを招いて本とのつながりを考える、
『本のしごとトーク』を行っています。
その『本のしごとトーク』第8回目が、5月2日に行われました。
今回のゲストは近藤ナオさんです。
人と様々なものとの出会いの場として注目を集めるシブヤ大学の設立から関わっている近藤さん。
この日のトークではその驚くべき行動力、そして人との関わりについてじっくりとお話を聞くことができました。

今でこそお仕事で日本各地を忙しく駆け回る近藤さんですが、学生時代は普通の若者そのもの。
東京に行きたいという気持ちで、何となく大学に入り建築の勉強をしていたそうです。
しかし、学生生活の中での出会いをキッカケに、在学中から仲間と建築デザイン事務所を立ち上げ、卒業後もさらに活動の場を広げます。
仕事をこなし、お金もどんどん稼ぎ、端から見れば順調そのものの生活。
でも、近藤さんは大きなお金が動く世界の仕事に不安を覚え始めます。
お金がいっぱいあるから何なんだ?
徐々にお金のことが信じられなくなった近藤さんでしたが、同時に次のような考えも持ち始めたそうです。
食べ物やエネルギーといった人間の生活に最低限必要なものがどこから生まれ、どのように自分たちのところへやってくるのか。
今の都市生活を営む人々はそれを知らない、ということに気づいたのです。
それからは山梨県で農業を始めて自ら食料を作ったり、世界の現状を多くの人に知ってもらおうと「GENERATION TIMES」という冊子を製作したり、
人に頼まれた仕事ではなく、自ら提案して仕事をするようになり、その楽しさに病みつきになっていきました。
そのような活動が社会でも認められるようになり、今現在も近藤さんの活動の核になっているシブヤ大学の設立へとつながっていきました。
ここでも重要なのは、人との出会いでした。
今でも一緒に「ASOBOT」やシブヤ大学で活動している伊藤剛さんと出会ったことで、物事が前進していったそうです。
様々な出会いのおかげで、とんとん拍子にシブヤ大学の設立に成功します。
シブヤ大学の活動は、大勢の人と会い、話し合いの場を作ることです。
シブヤ大学がここまで大きく、盛んな活動ができるようになったのも、人との繋がりを大事にしてきたからこそだと思います。
シブヤ大学は単に学ぶ場ではなく、人と人との出会いの場であるということを近藤さんは強調していました。
人と人が出会い、一人ではできなかったことも大勢になれば大きな力になり、日本が抱える問題や課題を少しでも良い方向に持っていく。
そんなに簡単なことではないかもしれないけれど、そういった「人と課題」との出会いの場としてシブヤ大学を位置づけたい。
これが近藤さんの理想であり目標であるそうです。
近藤さんがこれまで歩んできた中で、とても重要なものが人との出会いであった。
だから、人との繋がりを普段の生活でも仕事の場でも大切にしたい。
そんな近藤さんの理念が、シブヤ大学の精神に繋がっているようにも思います。
現代の都市生活では薄れてきてしまった人と人とのコミュニティの場。
無理して繋がりを深めていけば、昔のムラ社会のような息苦しく窮屈なものに逆戻りすることにもなってしまいます。
そんな難しい人と人との繋がりを、程よく保てる社会がこれから必要になってくるのではないでしょうか。
シブヤ大学はそのキッカケになる場所だと感じるし、また姉妹校として続々と開校予定の大学を通じて日本全体がいつかは住み心地の良い社会に近づいていくのではと思いました。

大村さんが作ってくださった給食は彩りがきれいで、視覚からも味わうことができました。
話を伺ったところ、「小あじのマリネ」の小あじは1匹1匹大村さんがさばいたとのこと。
時間をかけて丹精込めて作っていただいたお料理は今回も大好評でした。
ごちそうさまでした!
今回のトークでは、一番最初に自己紹介ならぬ「他己紹介」をやりました。
シブヤ大学の授業でもたまに行うそうで、おかげで会の始めから緊張も解け、和やかムードで進んでいきました。
さすが、人との繋がりを大事にする近藤さんらしい計らいでした。

今回、貴重なお話を伺った近藤ナオさん、また参加者の皆様、ありがとうございました。
国立本店でも今回の話を生かして何かできたらなぁと感じます。
なお、次回の本のしごと・トークは2009年5月16日(土)、遠藤綾さんをお迎えします。
【レポート:本のしごと研究室 研究員 桜井直子】

















