2009年から、ここ国立本店で新しくスタートした『本のしごと研究室』では、隔週でゲストを招いて本とのつながりを考える、『本のしごとトーク』を行っています。
その『本のしごとトーク』第9回目が、5月16日に行われました。
今回のゲストは遠藤綾さんです。「絵本カーニバル」を開催している遠藤さんです、そもそも「絵本カーニバル」って何?というところから、本と子どもの関わり合いについてのトークショーとなりました。当日、「おすすめの絵本、もしくは本を1冊持って来て下さい。」という告知の中、それぞれがお気に入りの本を携えやって来たのですが、その本を紹介しながらの自己紹介がスタート。それぞれが、「人前で話すのはあまり得意ではないのですが…」と言いつつも、自己紹介だけであっという間に1時間が経過!
という訳で、本題の遠藤さんのトークのレポートに入る前に、私にとって絵本との関わりを少しだけ書かせて下さい。
-------------------------------------------
あなたにとって、とっておきの絵本はありますか?お気に入りの1冊がありますか?子どもの頃に何度も繰り返し読んだ1冊だったり、大人になってから出会った1冊だったり。それは、人それぞれだと思うけど、誰しも1冊くらいは、お気に入りの絵本があるはず。
私の幼少期は幸いにも絵本がたくさんある環境で育ちました。3人兄妹の末っ子として生まれた私は、すでに何度も読み返され、落書きがされた、絵本たちが何十冊とありました。それは、日本昔話からディズニーまで色んな物語がありました。更に、母のバイト先であった町の図書館に、ある事情で幼稚園に通っていなかった私も一緒に行っていたからです。図書館にある本は、どれだって自由に何度だって読む事が出来て、その頃は、トーマスやピーターラビッドの絵本を好んで読んでいた(見ていた)覚えがあります。それはほとんどが、小さいサイズの絵本でした。
大人になってからも、変わらず好きな絵本は、安野光雅さんの絵本です。旅シリーズは、言葉のない絵本に母が独自のストーリで読み聞かせてくれていました。大人になってから再開したこの言葉のない絵本に、私は魅了されました。時に、友人の誕生日プレゼントにこの絵本をセレクトした事もあります。
子どもたちにとって、絵本の世界ってどういった場所なんでしょう。私は外で遊ぶのも大好きでしたが、外で遊ぶ経験とはまた違った体験が、絵本の世界には潜んでいるのです。太陽の下でぐったりとなるまで遊んで帰って来て、寝る前にはたくさんの絵本を読んでもらいながら眠りに付く。外で遊ぶことは、怪我をしたりして知る実体験であって、絵本の中では想像力を豊かにする心を養っているのではないでしょうか。
-------------------------------------------

遠藤さんは、弁護士になる為、法律の勉強をしていたが、児童養護施設で仕事をしている中、子どもとの関わり合いが法律上では事後のケアでしかないと、痛感する。それは、全てが起きてしまった後のこと。法律の仕事での子ども達との関わり合いではどうにもならないと、弁護士になる夢からチルドレンミュージアムを創ろうという夢への転換期が訪れる。
そこで、東京で開催されている「絵本カーニバル」との出会いがある。ただその「絵本カーニバル」で、遠藤さんは違和感を抱く。ホテルの宴会室のようなところで開催されていた「絵本カーニバル」は、円卓に布を被せ、絵本が並べられている。円卓の高さは子どもの背の高さに合わせてあるわけでもなく、子どもが絵本を読む空間ではなかった。
遠藤さんはその違和感を抱きながら、「絵本カーニバル」の巡回がはじまる。そのスタートとなったが、現在でも年に1度開催されている、熊本県にある山都町での「絵本カーニバル」。遠藤さんは、この山都町で素敵なスペースに出会い、ここで絵本カーニバルを開催したいと思い、企画書を持ち込む。そして、ハイスピードで企画が進み、わずか1ヶ月半の準備期間で開催へと実現した。ここでの開催では、什器となった丸い台は、子どもが手に取り易い高さにされ、本の並べ方もテーマ性を持たせたものとなった。
この開催を機に、「絵本カーニバル」は地方を巡回していく。段ボールで作られた本棚や机を、運びながらサーカス劇団のようにして。
山都町での開催から1年、その間10回の開催を経て、遠藤さんは完成図を掴みはじめる。開催する地方によってやり方がどうしても違ってくる為、毎回新しい試みが繰り返されていた。そんな時、遠藤さんは開催地の町の人と「どんな絵本がいいですか?」という、議論を交わす。それによって遠藤さんの中に「どんな町にしたいのか」とイメージし、選書から当日の会場の配置や動線を考えながら決めていった。
ただ、選書と言っても数が膨大にある。熊本の山都町での開催の時には、九州の大学の蔵書から選書するのだが、その数約5000冊もの本があった。5000冊もの数から選書するだけでも、大変の事であろう。ただ遠藤さんの場合、企画から会場設計まで行ってしまうのだから、並大抵な事ではないと容易に知れるだろう。
これまで3年半で、なんと60回もの開催を重ねてきた、「絵本カーニバル」。これからは、大人向けの開催も企画したいと遠藤さんは言う。
いつもの本屋さんで、いつもの雑誌コーナーや文芸コーナーばかりではなくて、もう少し奥かな、別のフロアーかな。少しだけ本屋さんを探検して、発見するのが絵本のコーナー。そこに辿り着いたら、あの懐かしい絵本たちや、新しくて面白い作りの絵本が、ずらっと並べられてこっちを見ている。ぼくを読んで!わたしを読んで!って。
絵本の時って、どんな時間?どんな色をしている?
いつの日か、あなたの町にも「絵本カーニバル」がおとずれる日がきたら、是非遊びに行ってみて。その時はどうぞ好奇心を忘れずにお持ち下さい。

今回の給食は、展示中だった「チェコの絵本」に合わせて、なんとチェコ料理が振る舞われました。肉団子がころころ、ニンジンほくほくのスープ。デザートにチョコのブラウニケーキも。とても美味しかったかです。

(text:研究員かわしま)

















