『本のしごと研究室』では、隔週でゲストを招いて本とのつながりを考える『本のしごとトーク』を行っています。第15回が9月12日に行われました。ゲストは選書集団BACHに所属する山口博之さん。
仕事柄、たくさんの本と触れ合う山口さんと一緒に、国立本店の本棚を再構築するワークショップを開催しました。

そもそも、国立本店の本たちは、ここで関わる人たちが読み終わったおすすめの本を古本として出本してあります。また、装丁などで自身が関わった本など新刊の本もあります。
国立本店での関わりのある人の多くが、建築家だったりグラフィックデザイナーだったりする為、建築やデザイン関係の本が多く並んでいます。
以前は、1人に1つのボックスで本を並べて棚を構成していました。1つのボックスがその人を表現するかのように、並べられていた本。それはそれで、面白い構成ではあったのですが、お客さんからすると、ジャンルもバラバラなので、見づらく、手に取りにくいのではと、私は思っていました。
一般の書店では、新刊書籍、雑誌、漫画、絵本、辞書のように本の種類によって棚が分類されています。そして雑誌だったら、男性誌、女性誌、音楽、趣味、経済、のように更に分類されて棚に並びます。なので、私たちは書店へ行くとき、目的の本を探すためにはその棚を探せばいいのですが、ただ、それではかなり受け身の本棚のように思います。
私は、書店は冒険をしようと心がけています。
ただ眺めているだけでも、目に飛び込んで来る本もたくさんあるのですが、それでは自分の興味のある本ばかりが目についてしまうので、私は冒険をします。
例えば、興味もないのに辞書・辞典のコーナーに行ってみたり、経済誌をぱらぱらしてみたり。
夕ご飯のおかずを考えながら見ていた料理本から、生活の知恵を頂いたり。
多くの書店の本棚が受け身な中、人が本を手に取るシチュエーションを考えながら本棚を構成する。そこには、ある一定のジャンルによって分けられた本棚ではなく、本のことをより知るもののみがなし得る、本と人とのつなげ方があるのでした。

今回のワークショップでは、事前にいくつかのセグメントを山口さんから提示して頂き、そのセグメントごとに国立本店にある本と、参加者の方にも気になるセグメントを選んで3冊以上ご持参頂き、並べ直す作業を行ないました。
事前に提示したセグメントは、『中央線から』、『東京』、『男と女とそれ以外』、『家の内/外』、『植物とともに』、『おいしいもの』など。こうしたセグメントを提示しただけでも、より具体的で身近な言葉によって本と人の距離がぐんと近づくような気がします。更にここに新しいセグメントを追加もしました。
最終的に完成したセグメントは以下のようになりました。
『中央線から』、『東京』、『男と女とそれ以外』、『家の内/外』、『植物とともに』、『動物とともに』、『あの人の生き様』、『地球』、『おいしいもの』、『フシギな世界』、『科学的思考』、『日々のこと』『伝えるもの』、『旅』、『人間の体』、『学び』、『ことば』、『本の本』、『水』
より具体的により身近なタイトルを目にすると、今まで見知っていた本が、ちょっと違って見えてくるのが不思議です。
また書店で、「雑誌」とか「絵本」とかって書かれた看板を目にするより、ずっとずっと本を手に取りやすい、つまり心に届きやすくなったように思います。

こうして並べられた本たちは、大きさも厚さも製本のされかたもまちまちで、不揃いな棚になってしまいました。しかし、隣の本となんらかしらの関係性があって、ついつい隣の本も気になって手に取ってしまう。
それが、本と人を繋げるヒントになっているようです。
もし本に個性や性格があるとするならば、違った個性を持ったものたちと話してみたいと思うかもしれない。
同じような性格のものと一緒にいたいと思うかもしれない。
いや、中には同じような個性のものと一緒にしないでほしいと、願う本もいるかもしれない。
気の合う仲間たちと一緒に、ゆったりとした時間を過ごしたいと思うかもしれない。
本にも個性があって、生きている。
1冊1冊が著者によって込められた想いや、表現が発しているのだから。人から本へ。そして本から人へ。その人から今度は隣の人へ。

ひそひそと本たちが話し合っているのが聞こえてきそう。
棚の本をすっきりと整頓して、一仕事終わった後の給食は、またいつもとは違う美味しさがありました。



レポート/かわしま

















