活動も2年目に入った本のしごと研究室。
第21回は2月6日に国立本店にて行われました。
2010年の最初のゲストは、2009年の3回目にもゲストとして登場した、
グラフィックデザイナーの葉田いづみさんです。
国立本店での展示とあわせ、
葉田さんがデザインされた本を一堂に会した
展示の中での国立本店内のトークイベント。
前回は葉田さんがどのような経緯を経て
本のデザインに関わるようになったかが中心でした。
今回は葉田さんが本のデザインを
どのような流れで依頼を受け、企画を聞き、
打ち合わせからデザインをして、発売まで至るのか。
そのしごとに迫りました。
本のデザインの中でも料理本などビジュアル本を中心に、
たくさんの書籍をてがけている葉田いづみさん。
多いときは年間15~20冊くらいのペースで
しごとを進めています。
その多くは以前デザインしたモノを見て
依頼がくることが多く、出版社からだけでなく、
編集者やプロダクション、ライターなど、
様々な方から依頼をいただくそうです。
本の企画の内容にあわせて、
スタイリストや、カメラマン、イラストレーターなど
スタッフの人選をするのはもちろん
本の仕様や、サイズなどについても提案することも。
料理本やビジュアル中心の本が多いので、
スタイリングや写真の撮り方などが決まったら
撮影のディレクションの立ち会いまでするそうです。
最近は仕事でもデジタルカメラが多くなってきましたが、
ネガの持つやわらかさが好き。
そう話す葉田さんがディレクションしている写真には、
とてもきれいな空気が表現されていると思います。
デジタルでは表現できない極細かい階調や色幅など、
本の佇まいを余白の空気とともに魅せる、
葉田さんらしい表現でした。
紙に対しても強いこだわりを持っていて、
写真がきれいに印刷されるだけでなく、
手触りのある質感の紙を使ったデザインが多く見られました。
また、通常のオフセット印刷だけでなく、
特殊なレトロ印刷を使った冊子など、
独特のこだわりを感じるモノが多いのも印象的でした。
デザインの作業では1~2見開き程度のデザインを提出し、
文字のサイズやデザインの方向性などに相違がないかを確認します。
書籍の中で重要なポイントとなる書体選び。
葉田さんはなるべく少ない書体で抑えたいそうです。
できれば1書体、多くとも2書体程度。
タイトルや著者名などをどうしてもより大きく、
より目立たせようとするため、
実際の書店の中ではそのほとんどが煩雑なモノになりがちです。
他と同じでは逆に目立たなくなってしまうので、
売り場を意識し、他の書籍のデザインとの差別化をこころがけています。
書体選びも古風でクセがない書体が好きで、
必然よく使う書体も決まってくるそうです。
デザインの提出をした後は依頼があれば修正に対応し、
その後にデータ入稿を。
初校・再校と2回の色校正の後、校了へ。
入稿から校了までの期間は約2ヶ月くらいかかるそうです。
校了から未本誌の完成を経て、約2週間程度で発売となります。
こうして様々な人の手を通じて本がつくられて、
書店に並び、私たちが手にすることができます。
編集者とのやり取りが多い中で、
自分の意見を持っている編集者はいいこと。
みんなでつくっていくモノなので、
なるべく著者の意見も取り入れて、
いい本をつくっていきたいです。
葉田さんの話を聞く中から、
本への強い思いが伝わってきました。
本としての存在の気持ちよさが欲しい。
自分の部屋にあってもすんなりととけ込む感じなど...。
グラフィックデザインの中でも、
本のデザインは広告よりも多くの時間がかけられ、
求められるデザインも一過性だけではないと思います。
長い時間に耐える普遍的で心地よいデザインが求められる中で、
葉田さんのしごとからは、凛とした本としての存在感と、
ひっそりとささやきかけてくるような、
そんなご本人と同じ空気を強く感じることができました。
これからはビジュアル本だけでなく、
小説や詩集など文字を中心とした本など、
より幅広いジャンルのデザインに関わっていきたいそうです。
そんな葉田さんのオススメの本は、
Jasper Morrison の「A BOOK OF SPOON」。
古本屋などで見かけた際には、ぜひ見てみてください。
葉田さんのデザインのヒントが隠れているかもしれません。
葉田さん、楽しい時間をありがとうございました。
本のしごと研究室 研究員 丸山晶崇

















